創薬の未来と進化する薬剤師像 伝習館の若き眼差しが最前線を見つめた

記事公開日:2026年7月7日

創薬の未来と進化する薬剤師像 伝習館の若き眼差しが最前線を見つめた日

7月3日(金)の6限目、進路指導部特別企画として「九州大学薬学部特別説明会」が開催されました。
講師に九州大学大学院薬学研究院の平井剛教授をお迎えし、薬学や最先端研究に関心を持つ2年生・3年生の有志27名が参加しました。

平井教授は「九州大学薬学部:創薬の未来と進化する薬剤師像」をテーマに、激変する世界の製薬業界から、AI時代における薬剤師のあり方、九州大学の卓越した研究環境まで熱く語ってくださいました。

1. 激変する製薬業界とグローバル化

現在、製薬業界では特定の細胞に薬を届ける「ADC(抗体薬物複合体)」など、日本発の革新的ながん治療薬が登場しています 。
一方で、企業の合併・買収などの業界再編も猛烈なスピードで進んでいるのが現状です 。

世界的な人口増加と高齢化により薬の需要は右肩上がりであり、日本は世界第3位の新薬創出能力を誇る強豪国です 。
国内最大手の武田薬品工業の取締役に多くの外国人が名を連ねるように、現代は「日本の会社であっても世界を相手に働くのが当たり前」のグローバル時代に突入しています 。

2. 九州大学薬学部の特徴と教育システム

薬学部には4年制と6年制(国家試験受験資格あり)があり、原則として入学時に分かれますが、九州大学では数名の転学制度も存在します 。
他学部と異なり、入学後に広く科学や生物を学び、3年次後期に自らの専門(研究室)を選べる点が大きなメリットです 。

最大の特徴は、徹底した「研究重視の姿勢」です 。
6年制の学生であっても高いレベルの研究が求められ、単なる国試対策ではなく、未来を切り拓く「研究能力・教育能力」の育成に重きを置いています 。

3. AI時代における薬剤師の役割と未来

単純な調剤業務は将来的にAIが担う可能性がありますが、患者との対話や、化学物質の専門家として医療チームを支える役割は人間にしかできません 。
また、薬剤師の需給は都市部で充足、地方で深刻な不足と地域差が広がっており、年収面にも差が出ています 。
一方で、卒業生は化学メーカーでの素材・プラスチック開発など、医療の枠を超えた多彩な分野でも活躍しています 。

4. 世界トップクラスの研究環境

九州大学には、2台で10億円を誇る「クライオ電子顕微鏡」など世界と戦える最先端設備が整っています。
さらに2・3年次にタイや台湾へ留学する「国際コース」もあり、海外の医療現場を学ぶ機会も豊富。
大学が挑むのは、10年、20年先に花開く「薬の種」を見つける基礎研究であり、人類未踏の課題に挑む夢のある仕事です 。

5. 進路選択を迎える生徒たちへのメッセージ

最後に平井教授は、「資格があれば食いっぱぐれない」という古い価値観に流されず、10年・20年後の社会の変化を想像し、「自分が何をやりたいか」という強い意志で進路を選んでほしいとエールを贈られました

参加生徒の感想より

説明会終了後、参加した生徒からは多くの前向きな声が寄せられました。

  • 「元々医療に関心がありましたが、20〜30年先を想像する大切さを学びました 。AIの進化やグローバル化が進む未来でも、どのような世の中にも適応できるコミュニケーション力を身につけ、医療の面で誰かの助けになれるよう頑張りたいです 」
  • 「薬の研究者は『人類の未来のための職業』だと改めて感じました 。すぐに役立つわけではなくても、新薬を創ることで多くの命を救える基礎研究の素晴らしさに、強く胸を打たれました 」

参加した27名の生徒にとって、今回の説明会は、単なる学部紹介を超え、生徒たちが自らの未来と科学の可能性を深く見つめ直す極めて貴重な時間となりました。

当日の様子はコチラからご覧になれます。