【学問への扉を開く】伝習館高校2年生「大学体験講座」実施

記事公開日:2024年10月30日

10月23日(水)、伝習館高校で恒例の「大学体験講座」が開催されました。
2年生を対象に、12の大学から専門分野の先生を招いて講義が行われるこの特別なプログラムは、生徒たちが大学の学問の世界に足を踏み入れる貴重な機会となっています。

また、この講座は大学の学問研究の実際に触れることで、生徒たちの探究心を高め、進路選択の明確化を図ることを目的としています。

「洞察すること」が一歩前進の条件

「大学体験講座」は、新規学問の知識を得るためのものではありません。
大学教授による講義を体験することで、各専門分野の研究に向き合い、学問に対する興味や関心を高めることができる場です。

今回の講座は、文系・理系の両分野から12名の教授が参加し、参加生徒は自分の進路希望や興味のある分野に合わせて2つの講座を選んで、受講しました。

多様な分野の講義が進路意識を高める

「大学体験講座」には、法学、経済学、文学、医学、薬学、農学、教育学といった幅広い分野の講義が用意されており、生徒一人ひとりの興味に応じた講座を選べます。

佐賀大学 経済学部 樫澤 秀木 教授 
「グレーゾーンと法的思考」
【生徒感想】抜粋
 今回の講義を通して、単純に白黒つけられない曖昧な現代において、グレーゾーンに位置する人や物事の扱いの難しさを学びました。「被爆体験」と「被爆体験者」の違いについてを教えていただき、最近の判例などを参考に学びました。これからは、無知と無関心にはならないようにし、社会的な出来事い対しても静かな怒りをもって批判的に捉えられるようになりたいです。 1組 M君
 

熊本大学 法学部 中内 哲 教授
「法(律)を学ぶこと、法学部で学ぶことの意味合い」
【生徒感想】抜粋
 法律というのは、あくまで「基本的には」という記述であって、それを基に場合分けをし判断する必要がある事を知り、そこが面白いと思いました。大学と高校の違いも教えて頂き、大学生になる上で最も必要なものは「自律」だと知りました。今後は、色々なことに挑戦し、自信を持って自律できるように頑張ります。 1組 Wさん
 

熊本大学 文学部 日高 愛子 准教授
「日本古典研究の世界」
【生徒感想】抜粋
 古典の世界では、自分の思いを比喩や倒置を使いお洒落に表現しているところが素晴らしいと思います。受け取り方も自由で、想像が膨らむところが最大の魅力だと感じました。1組 Tさん   

福岡教育大学 教育学部 杉村 伸二 教授
「小中高の歴史分野と「世界史」の研究」
 
【生徒感想】抜粋
 世界史について、遊牧民や交易路などの世界を結ぶものに注目したり、広大な領土をもっていたモンゴル帝国を「世界史のはじまり」とする見方があることや、今、学んでいる世界史は、中国史や西洋史に偏っていたり、ヨーロッパが中心で進んだ世界のように表現されていることが分かりました。 1組 Tさん  

福岡女子大学 国際文理学部 村長 祥子 教授
「英語の歴史ーなぜ「5文型」が大事なのか」

【生徒感想】抜粋
「5文型、文法はそんなに気にしなくていい」という意見もある中で、相手へのリスペクト、自分を色々な形で表現できる、自分の言いたいことを正確に伝えることが文法を身につけることができると分かり、改めて文法の大事さを感じた。場に応じた適切な言葉遣いができるように今後も英語を学んでいきたいです。   2組 O君

九州大学 共創学部 松尾 和典 講師
「九州大学共創学部~多様な課題の解決に向けて~」

【生徒感想】抜粋
 共創学部とは、社会の課題を解決する目標の下、活動されていることが分かり、机上の知識を実生活へ繋げている部分にとても魅力を感じました。地域の問題を解決するという抽象的なイメージから具体的な解決策を見つけていく面白さは、将来にも役立つことであり、共創学部について更に多くの事を知りたいと思いました。 2組 Eさん

九州大学 薬学部 丹羽 節 教授
「くすりの行き先を見る科学:薬学部で学べること」

【生徒感想】抜粋
 薬学部とは病気を治すことに直接繋がる研究だけではなく、他の分野の研究にも技術が応用されていると知りました。学問はそれ一つで完結するのではなく、繋がり合っていることを実感し、自分の進路を見つめ直すきっかけとなりました。 5組 Mさん

佐賀大学 医学部医学科 塩谷 孝夫 助教 
「心臓の生理学:どんな仕組みで心臓は拍動するのか?」

【生徒感想】抜粋
 僕は医学部を志しているのですが、今回の講座で医学を学ぶことの難しさや、「医学を学ぶ」ということの意味するところが少し分かりました。医者になるということを、今の今までボンヤリとしか考えていなかった僕にとって、非常に大切な時間になりました。夢を叶えるためにこれから、ひたむきに頑張ろうと思います。 4組 S君

佐賀大学 農学部 吉田 和広 助教
「有明海と南極での植物プランクトンの珪藻の役割-砕氷艦しらせ航海帰還報告-」

【生徒感想】抜粋
 農学部は、米や野菜についての研究だけでなく、香りや海についての研究を行っていることが分かった。珪藻は赤潮を起こしたりする一方で、私たちの呼吸に欠かせなかったり、ムツゴロウの餌や絶滅危惧種に計上されたとても重要な植物プランクトンであることが分かった。有明海は珪藻の影響をとても受けており、美味しいのりになるか、色落ちしたのりになるのか、とても重要だと思った。 4組 Iさん

熊本大学 医学部保健学科 友岡 史沙 助教 
「『看護』に興味を持つ高校生の皆さんへ」
【生徒感想】抜粋
 大学へ進学し看護学を学びたいと思い、ネット等でリサーチをしていたつもりだったが、初めて聞くことが多く、とても多くの事を学べました。大学での実習の話では、大学で学んでいる自分を想像し、とても胸が躍りました。 4組 Iさん

長崎大学 工学部 西川 俊介 准教授
 「構造デザイン~モノのかたち~」
【生徒感想】抜粋
 普段何気なく見ている景色が色々なことが考えられて創られていることを知って驚いきました。中にはなぜそんな構造をしているのか知っている物もありましたが、丸い鉛筆がなぜ丸いのかなど知らないこともあり、よりデザイン構造に興味を持つことができました。これからの人生、面白い形の建造物を見かけたとき、なぜこんな風に使ったのだろうなど考えながら生きてみたいです。 3組 H君

九州工業大学 情報工学部 青木 俊介 教授 「情報工学のもたらす新世界探訪-情報工学の可能性は∞-」
【生徒感想】抜粋
 情報工学とはコンピュータ関係だけでなく、薬学や医療機器などにも応用されていると知り、情報工学は奥深く、また私たちの生活に深く関わっていることが分かりました。より一層情報工学への興味が増しました。 5組 Uさん

生徒が主体となる運営

今日の講座で特筆すべき点は、生徒が講座の運営を自ら行ったことです。
講義の準備や進行の進行は担当生徒たちによって進められ、講座のスムーズな進行が実現しました。

運営にうまくいった生徒の一人は、「最初は不安もありましたが、無事にやり遂げることができ、達成感があります」と語っています。
今後の進路選択や社会に出てからの活躍において、大きな財産となることでしょう。

未来への一歩

「大学体験講座」を受講した生徒たちは、普段の授業では体験できない高度な学問に触れることで、自らの未来への可能性を見据えました。

講座終了後に実施されたアンケートでは、多くの生徒が「進路選択の視点が見えた」「大学で学びたいという気持ちが強くなった」といった前向きな感想を述べており、この体験が今後の将来を見据えて大きなきっかけとなったことは明らかです。

まとめ

伝習館高校の「大学体験講座」は、生徒たちが学問の世界に足を踏み入れ、未来への一歩を踏み出すための重要な場です。

大学で学ぶことの憧れや難しさを実感し、将来の進路の選択に向けた意識を一層高めました。

伝習館高校2年生の生徒たちは自らの未来を展望し、さらなる成長を遂げることになるでしょう。
学問の扉を開くこの体験が、彼らの人生にとって貴重な一歩となることは間違いありません。

≫当日の様子はコチラからご覧になれます