ホーム  >  生徒会・部活動紹介 [ 文化部活動報告 ]
06|2019/07|08

123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
28293031


カレンダーと同期
【新着一覧】

2020年3月31日
ニホンウナギ稚魚の飼育環境におけるクスノキ落葉の役割と感染症について考える新着

2020年3月23日
自然科学部 ウナギの水槽に落葉を入れるとアンモニア濃度が減少することについて新着

2020年1月18日
飯江川をニホンウナギが育つ川にするための調査

2019年12月24日
令和元年度の締めくくり!伝習館高校自然科学部ニホンウナギ稚魚を124尾放流!

2019年12月21日
令和元年最後の石倉かごモニタリングで放流したニホンウナギを7尾再捕獲!伝習館高校以前科学部

2019年12月15日
矢部川シンポジウム「私たちの水環境」で伝習館高校自然科学部が発表

2019年12月8日
第5回全国ユース環境発表大会九州・沖縄地方大会に自然科学部「先生が選ぶ特別賞」を受賞

2019年12月7日
eco-1グランプリ最終審査会に伝習館高校自然科学部出場

2019年11月10日
伝習館高校自然科学部「全国アマモサミット2019みやぎ」に参加して

2019年11月4日
アースウオッチジャパン参加者とウナギ稚魚を173尾放流

2019年10月27日
ふしぎいっぱい自然探検隊,福岡県のボランティアに参加(主催:福岡県南筑後保健福祉環境事務所)

2019年10月23日
産卵のため海へ戻る直前の銀ウナギを柳川観賞魚センターから23尾購入し,二丁井樋で放流

2019年9月18日
伝習伝習館高校自然科学部 銀ウナギ(下りウナギ)を放流し,ニホンウナギの保全へ第一歩

2019年8月25日
伝習館で飼育したニホンウナギ稚魚442尾,柳川掘割に放流!

2019年8月23日
吹奏楽部 夏季合宿を行いました
伝習館高校自然科学部が放流したウナギが46cmに成長し釣り上げられた

2019年8月2日
伝習館高校自然科学部九州地方ユースSDGsフォーラムに参加

2019年7月27日
伝習館高校自然科学部京都大学森里海キャラバン芦生研究林ワークショップに参加

2019年7月20日
伝習館高校自然科学部と伝習館同窓会みやま支部共同の飯江川視察

2019年7月19日
伝習館高校自然科学部が第53回ウナギ供養祭に参列

2019年7月20日

伝習館高校自然科学部と伝習館同窓会みやま支部共同の飯江川視察

期 日:令和元年720

場 所:みやま市山川町,高田町

主 催:伝習館同窓会みやま支部・伝習館高校自然科学部

 

伝習館同窓会みやま支部は伝習館同窓会山川支部,伝習館同窓会瀬高支部,伝習館同窓会高田支部の三支部が統合し令和元年713日に伝習館同窓会みやま支部として初の支部総会が執り行われた。総会後に短時間自然科学部顧問から自然科学部の活動報告をするようにみやま支部長から事前に依頼を受けていたので,自然科学部が目指す研究の目的とこれから目指そうと準備している「ウナギが育つ川,飯江川」にするための事前調査から分かったことを報告した。

その報告うけてみやま支部の幹部の方々から飯江川の視察会を行いたいと依頼された。みやま支部の皆さん方は,次の世代のための地域作りを模索されていると聞いた。そして私たちが考えた「飯江川全域親水公園」構想と,その実現のための川にたくさんの魚が住むための魚道の設置,それから安全で安定した水量を得るための上流の100年の森計画。私たちのウナギ研究から分かってきたウナギが遡上できる堰や分解者が活躍できる護岸の構造,川の上流域の自然を保障するための広葉樹の森林など,実際の川でウナギが育つことができるような自然度豊かな川を取り戻すことができるのか,実地でどれだけ私たちが考えた自然のあるべき姿を取り戻すための様々な対策が役に立つ日がやってきた。これは私たち自然科学部の挑戦の第1歩であると考えている。

飯江川と私たちの研究の接点

私が思うところ,飯江川流域にはたくさんの伝承や祭り,史跡が多い。また,至る所に寺院やお地蔵さんなど祈りの対象となるようなものやその痕跡が多く残っている。つまり,人々の生活に飯江川は密着した存在であったわけである。一方では,飯江川はわずか10kmにも及ばない短い川であることから豪雨時の河川氾濫の歴史も度々あり,災害に遭われた方々の御霊を弔うお堂なども各所に建立されている。河川全長が短いほど上流域の土壌の吸水性が氾濫などの災害に影響を与えやすくなり,上流域の腐植層が貧弱で貯水能が低ければ,ひとたび雨が降ると降雨はそのまま河川に押し寄せ水が集まる中流域で災害を発生させる。特に針葉樹林と竹林の林床の腐植層は貧弱で豪雨災害時の崖崩れが起こりやすい。飯江川上流には竹林と針葉樹の植林が多く,度重なる水害が起こった原因が何であるのか容易に想像できる。

広葉樹の森は自然のダムと言われるほど腐植層にたくさんの水をため込むことができる。ため込まれた水は夏の渇水期にも適度な流水をもたらし流域での人々の暮らしを保障してくれる。元より私たちが使える水は雨に頼っている。その水を安定してゆっくりと運んでくれていたのが本来の川であると考えている。だから川の近くに人々が住み着き,文化が生まれたのだ。

川で子供が安全に遊ぶために急な河川の増水は絶対に起こってはならない。そして,水量が安定すると飯江川流域の農業にとって水が使いやすくなり、ため池のようになった川が本来の役割を回復できるはずである。夏の水がたくさん必要な時にも豊富な水量を得られるからだ。そこで考えたのが「100年の森計画」である。上流で放置されている竹林を広葉樹の森に返す計画だ。今は絵に描いた餅と人々から嘲笑されるかもしれないが,令和元年720日に第一歩が踏み出されたと感じている。


八女市宮野公園の打ち上げられた流木20120716撮影(714日水害)針葉樹がほとんどだった


八女市星野川右岸20120809撮影竹林は針葉樹より土砂災害に弱い2012北部九州豪雨災害直後に撮影

また,飯江川には魚道を持たない季節によって可動する堰が多く,この堰のおかげで今は極端に魚がいない。昔は飯江川でたくさんの魚を捕る子供たちの姿が見られたと言うことを聞くことができた。今までの研究で多くの魚類にとって海との繋がりが必要なことが分かった。しかし,飯江川は,農業用の貯水池としての機能を重視するために農業で水を必要とするために水を堰き止めている。生物多様性が重要であることは1992年にリオデジャネイロで開催された環境と開発に関する国際連合会議(地球サミット)(伝説となった12歳の少女セヴァン・スズキの6分間のスピーチ)で各国の努力目標として掲げられた。現在では,生物多様性と農業を共存させる手立ても私たちは知っている。後は農業と生物多様性の実現に向け動くだけだと考えている。



セヴァン・スズキの6分間のスピーチを記録した本

2019519日飯江川の高田堰直下で1尾シラスウナギを特別採捕した。この事実は,飯江川にシラスウナギが遡上している証拠を示すものであり,川の環境さえ整えてやると飯江川で絶滅危惧種が育ちまた,マリアナ海溝周辺海域に帰り種の再生産を維持していくことができる可能性を持つ。


20190720撮影 201911日には堰き止められて水を溜めていたが下流域で水が必要になり放水している可動堰。このように今では飯江川は農業用の貯水池として使われている。


20100101撮影1月1日の汐留の堰,この堰は全く魚道がなく,海との繋がりを断ち切っている

私たちの研究の究極の目標

一連の私たちのウナギ研究は,ウナギが育つ川の構造,つまり自然度の高い生物多様性を維持できる堰や護岸の構造を提案し,ウナギや魚がたくさん獲れる自然豊かな川を未来の子供たちに残すことである。このこの研究を実践することは,私たちのみやま市を流れる飯江川をウナギの育つ川にする研究が将来地域を活性化させる担い手である子供の成長に大きく関わっており,ひいては地域創生に役立つのではないかと確信した。

もし,子供たちが飯江川で魚釣りやカニ採り,川遊びをすることができるようになると,子供たちは自然の姿を実体験することができるようになりコンピュータの普及でバーチャルリアリティの媒体中で過ごす機会が多くなった子供たちに自然の姿をリアルに感じ五感を使って心を動かす経験を与えることができるようになる。バーチャルリアリティは実世界を模した世界で非常に良くできているが,リアルな世界と微妙に異なる。それは匂いとか,温もりとか,実体験でしか味わえないような五感に関わるものかもしれないが,川で溺れそうになった時に水の匂いとか冷たさとか,息苦しさ,しかし友達や見ず知らずの大人に助けられたとか,このような実体験が子供の心の発達には必要だ。子供の心発達過程に於いてリアリティとバーチャルリアリティの微妙なずれが,将来人類の心に大きな障害を引き起こすことになるのではないかと危惧している。

飯江川で楽しく遊んだ子供たちは飯江川の自然を将来守ってくれるはずである。私はそう信じている。


舞鶴ふれあい公園の看板,舞鶴ふれあい公園は飯江川の水害復旧で整備された公園で作られた当時は,子供たちがこの看板に描かれたように元気に遊ぶ姿を思い描いて作られたのだろう。しかし,現実は,どうだろうか。水量の安定しない,魚のいない飯江川では,子供たちはよってこない。子供たちは知っている,本当に面白い場所を。現在のコンクリートで攻めきられた川では子供たちを呼び寄せるだけの魅力が不足しているのだ。

飯江川の少し上流では,自然度の高い川が残っている。


自然度の高い堰もあり,堰の建設に一貫性がないように感じる。多分堰の設置者と堰の設置時期が違うのだろう。このような堰を全域で作ることができれば魚も遡上できるし,流れがあるので酸素を取り込み水も自然浄化のはたらきで清く維持される。

最上流に目を向けると,みやま市真弓の集落を登ると砂防ダムの上にせせらぎがあった。


しかし昭和611月に造られた砂防ダムの下流は3面がコンクリートで補強された水路になっている。このような深いコンクリート張りの川は,降った雨をさっさと下流に流し真弓の集落を守る役割をしているが,真弓の集落より下流側に水を短時間に集め舞鶴や飯尾の急に傾斜が緩やかになった場所で水害を引き起こす原因になりかねない。現流域の背後の山はスギの植林が多く,腐植層が痩せているため保水力も低い。また,このように砂防ダムを造ってもすぐに埋まり事態の改善には役に立たない。

この飯江川視察を通じて飯江川をウナギが育つことができる川にするために私たちが行うことが,人々の命を守ることにも繋がると考えている。そしてそれが,農業にも,子供たちが安全に遊ぶことができる川に戻すためにも繋がることを強く感じた。


上流域の杉林。もう少し標高が低くなると竹林が多くなる。どうも問題の根源はこのあたりにありそうだ。

 

私たちの活動は,(一社)北部九州河川利用協会の「令和元年度河川利用推進支援事業」の助成を受けています。


 


福岡県立伝習館高等学校〒832-0045福岡県柳川市本町142
Tel:0944-73-3116 Fax:0944-73-6496
福岡県立伝習館高等学校
〒832-0045福岡県柳川市本町142
Tel:0944-73-3116  Fax:0944-73-6496
Copyright(C) Denshukan All rights reserved